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バベルの塔♪ [国際文化交流]

女優の鈴木砂羽さんが主演で初演出なされる舞台において、出演予定の女優さんお2人が公演直前に降板される事態が有り、世間が愉しみ騒ぐことがありました。

関係者の情報共有の不足、行程(工程)等の確認不足等が原因のようです。

私は舞台のことはわかりませんが、昔々、学童で同級生の知人(友人とも言う。)が中学生の時に文化祭の際、二年連続でテンポラルで強制的に演劇部に嵌められたことがありました。

暇な学童は、文化祭時、人手の足りないところ(かつ、部長先生が有力教師)から強制収監されてしまうのです(成績優秀者や生徒会幹部で文科系クラブに所属していない学童はだいたい演劇部に収監された。)。

拒否することはできない(学童間では刃物で示威する喧嘩は稀ではなかった中学だが、教師による殴る、蹴るは少なく、ここでも暴力による強制は無かったと言う。しかし、逆らうことは考えられなかったそうな。)。

因みに、私は文科系クラブに入っていないどころか体育系クラブにも入らず(校則上許されないが)放課後は数人の仲間と連れだって校内を見回っていた暇人だったが、どこからもお呼びがかかることは決してなかった。

そんな文科系クラブに所属せず暇な学童の一人で、演劇部に強制収監された知人からの(昔である当時の)伝聞の話ですが(そもそも嘘か真か)、ほほう、学芸会でもこんなふうに進めて本番に持っていくのか、と感心した記憶があります。

部長である先生が製作と演出を兼ねられるので、学童は気楽ですが、最初に工程表が示されということであります。

知力高い学童たちなので、台本の理解と記憶は何の問題もなかったようですが、観客を愉しませる全体的総合性の確立、舞台装置や宣伝も含めた仕事は簡単ではなかったようです。

大規模建設工事の建築・電気・設備のような各部門(各部門といっても、人間は幾つも兼務)の工程が階段表(鉄道のダイヤふう?)で記載され、節目節目では、それぞれ各部門が要求水準に達している必要があるということのようでした。

一月の作成期間中、いつ誰がどこまで進むのか日単位で示されており、かつ定期的に全員で進捗会議をやるので、進捗が悪い或は稽古日の都合が悪い等はそこで申告すれば全員が共有でき、補完対応策が検討されます(「都合が悪い。」はほぼ却下のようでした。)。

そして、稽古において、殴る蹴るはなかったそうで、和やかなものであったらしい(そう言うしかないが、学童たちに生傷や怪我はあまりなかった。ダイナミックな芝居なので、稽古の自然なプロセスでの不覚の怪我は有ったらしい・)。

学芸会レベルの場合、そこまでガラス張りでやらないと完成には持って行けないので、先生が自分の業務のやり方を持ち来んだのでしょうが、学童は、それが一般的なやり方だと思っていました。

暇で低能な私からすれば、無償でそんな面倒なことに取り組む学童たちが不思議でしようがなかったのですが、嵌められた学童たちは、何故だかすっかりハマってしまったようで、脱落者はいなかったと聞きます(もっとも、稽古時間に来ない学童は、収監隊(これも学童ですが)に急襲され拉致されて稽古場に連れていかれるので、逃げることはできない。しかし、殴る蹴るは無かったそうな。)。

大勢が関わる大きな仕事は、到達点を含む情報共有の徹底、不断の意思疎通と点検、役割の自覚がないと成し遂げられないので、状況把握、人心掌握を含め、指揮官は大変だと思います。

テレビのワイドショーで今回の事案を聞いた時、すぐさま、小学校の時に学んだ「バベルの塔」(「バブルの塔」ではない。)の話を想い出しました。意思疎通の破壊による混乱。

しかし、さすがにプロの演劇は、匠と阿吽の世界、文化祭の演劇ような稚拙でくどいやり方:工程表や進捗会議はないのですね。

今回の件、誰が悪いということではなく、情報共有の徹底、不断の意思疎通に不足があったことが原因でしょうね。

後は、一気に事態転乱の勢いです。

とは言え、開演の二日前の降板決定は、最悪の事態を回避することを可能にしました。

代役を立てて、公演は無事催行され、千秋楽を迎えることができたわけですから。

もしこれが、舞台初日のスタッフ集合時間に当該女優さんお二人が来なかった場合は、大変なことになっていました。

ということで、今回のこのケース、少なくとも悪意はどなたにもなかったようです。

結果的には、雨降って地固まる の好例になることでしょう。

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