汲み取り式便所あれこれ♪ [暮らし]
昨日TVを観ていたら、汲み取り式便所のことを知らないタレントさんがいて、司会の杉本さんが説明していた。
水で流さず、直下。
番組出演者のお家では、二階から直下という値打ちものがあったらしい。
さて、落ちた排泄物の処理。
最近は、地方自治体指定の専門業者が有料で吸引・回収してくれる。
正式に言えば、これは、「汲み取り」ではない。
しかし、昔は、糞尿は財産であったので、余っているお宅や使わないお宅から、お金を払っていただくこともあったらしい。
私は、全部自分の家で有効活用していた。
便所下の採取窓を開け、「こえびしゃく」と言う専用柄杓で、蓄蔵していた糞尿を汲み掬い、「こえたご」と言う専用桶に汲み溜める。これを「汲み取り」と言う。
二つの「こえたご」が7分目くらいまで溜まったところで、二つを担ぎ棒(天秤棒)の両側にぶら提げて担ぐ。
一心太助の魚売りの要領である。
リズムというか、揺れの周期を考えないと、桶の中で糞尿が大きく波打ち、外に飛び出すことがあるので、運ぶ時の足捌き、腰の動きには細心の注意が必要である。
これで公道を運ぶ。
県道であったが、当時は未舗装の凸凹道であった。
慣れないころは、時々道にこぼした。
行き交う歩行者や自転車の人に見られるのが恥かしい時期もあった。
運んで、そのまま畑に撒くこともあるし、田んぼ用に堆肥を作ることもある。
堆肥を作ることのほうが多い。
田んぼ脇の2m四方くらいの場所である。
藁を敷く。
その上に、肥柄杓で糞尿をかける。
その上に、また藁を敷く。
その上に、肥柄杓でまた糞尿をかける。
これを繰り返す。
汲み取りと運搬も繰り返しながら。
こうして、何層にも重なった堆肥を仕込み、醗酵(?)を待つ。
日にちが経てば、糞尿と藁が具合よく調和・醗酵(?)した堆肥が出来上がる。
出来上がった堆肥は、有機肥料として、豊穣の秋を演出する♪
いい具合にパサっとなった堆肥は、スコップで一輪車やリヤカーに積み、スコップで田んぼに撒くのです。
堆肥の下の土には、ミミズが住み着くので、これを餌にして、鮒を釣る。
汲んだ肥(糞尿)を直には蒔かず、肥溜めに溜め置く家もあった。
肥溜めは、やはり田んぼの傍に設置されるが、これは、地中に5m×3m、深さ2mくらいに掘られたコンクリート製の貯蔵タンクのようなもので、ふたがある。
これに落ちる子どもが後を絶たない。
ふたの管理が肝要である。
肥溜めに落ちると、溺れて死亡することもあるし、救出も大変。
落ちた子どもはもちろん、助けたほうも、当分臭いが落ちない。
ところで、昔は、屋内の便所のほかに、屋外の便所というものもありました。
屋内の便所は、昔の家は、玄関入って、次の間に上がり、奥の座敷を通り、回廊を通って回り込み、家の奥の奥、最遠部に位置していたので、野良仕事の途中でいちいち行きにくい。
このため、家に隣接してもうひとつ屋外便所を作ったのだと思います。
これは、汲み取りの極致。
地面に円柱形の穴を掘り、固めたもの。
下になるにつれ細くなっている。
そこに直接用を足し、溢れれば、上から汲み取る。
出入り同経路。
「小」はそのまま、地面に穴。
「大」のほうは、その奥にあり、同様の径の大きめの穴に、穴の開いた台が架設され、その上に乗って用を足す。
やはり、溢れれば、上から汲み取る。出入り同経路。
「小」と「大」が直列。
風雨よけの、申し訳程度の屋根と三方の壁。
扉はないので、風通しがよく、通る人と話ができる。
扉がないので、ときどき小動物が落ちる
飼い猫も時々落ちる。
自力で這い上がるが、後が大変。
しばらくは家に入れたくない。
でも、入る
パニック!!
最近は、この種の造作、あまり(?)見ない。